日本の専守防衛が如何に危険であるか総括してみた
こんばんは、TRエンタテインメントです。
専守防衛ばかり気にしていることがどれ程危ないのか、そろそろ理解しないと手遅れになるのではないかと冷や冷やします。
安倍首相は、14日の衆院予算委員会で次のような発言をしました。時事通信の記事から引用したいと思います。
衆院予算委員会は14日午前、安倍晋三首相と関係閣僚出席の下、外交・安全保障問題などに関する集中審議を行った。首相は日本の安全保障政策の基本である専守防衛について、堅持する考えを示しつつ「純粋に防衛戦略として考えれば大変厳しい。相手からの第一撃を事実上甘受し、国土が戦場になりかねないものだ」と述べた。
首相は敵基地攻撃に転用可能との指摘もある長距離巡航ミサイルについて「専守防衛の下で自衛隊員の安全を確保しつつ相手の脅威の圏外から対応できるミサイルは必要不可欠だ」と強調した。
立憲民主党の枝野幸男代表は、首相が憲法9条に自衛隊の根拠規定を追加しても任務や権限は変わらないと説明していることに対し、「予断を与える間違った刷り込みだ」と批判。首相は「書きぶりにはよるが、いまの制約と変わらない」と反論した。
出典;
日本はこれまで、先の大戦後、戦力の不保持を誓い、自衛隊のみで自衛権だけを持ち、専守防衛を徹底してきました。専守防衛の原則を守ることにより、必要最小限度の防衛に専念し、他国との交戦をすることなく、また、考える必要もなくしたおかげで、世界7位の軍事力(グローバルファイヤーパワーより2017 Military Strength Ranking )という能力を持ちました。最も、日本は「軍事」としてではなく、「軍隊」でもなく、「自衛のための実力とそれを保有する組織」ですが。
これらを考えると、これからも専守防衛の原則は堅持して、安全保障に取り組まなくてはならないと私は考えます。
しかし、専守防衛にばかりに専念しても現状の取り巻く環境から見ると、国を守ることができるのでしょうか。まず初めに、防衛省の自衛力についての見解を引用しておきます。
わが国が憲法上保持できる自衛力は、自衛のための必要最小限度のものでなければならないと考えています。その具体的な限度は、その時々の国際情勢、軍事技術の水準その他の諸条件により変わり得る相対的な面があり、毎年度の予算などの審議を通じて国民の代表者である国会において判断されます。
しかし、個々の兵器のうちでも、性能上専ら相手国国土の壊滅的な破壊のためにのみ用いられる、いわゆる攻撃的兵器を保有することは、直ちに自衛のための必要最小限度の範囲を超えることとなるため、いかなる場合にも許されません。たとえば、大陸間弾道ミサイル(ICBM:Intercontinental Ballistic Missile)、長距離戦略爆撃機、攻撃型空母の保有は許されないと考えています。
出典; 防衛省・自衛隊:憲法と自衛権
つまり、周辺の情勢によって、相対的に見て必要最小限度の実力を保有することについては問題ないことと解釈しているようです。その根拠は日本国憲法に書かれている全文にあります。防衛省の前文の解釈を以下に抜粋しておきます。
憲法第9条はその文言からすると、国際関係における「武力の行使」を一切禁じているように見えますが、憲法前文で確認している「国民の平和的生存権」や憲法第13条が「生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利」は国政の上で最大の尊重を必要とする旨定めている趣旨を踏まえて考えると、憲法第9条が、わが国が自国の平和と安全を維持し、その存立を全うするために必要な自衛の措置を採ることを禁じているとは到底解されません。
出典; 防衛省・自衛隊:憲法と自衛権
要は、たとえ専守防衛が原則であったとしても、専守防衛で国民および国家が存立の危機にある以上、ましてや14日に安倍首相が発言した趣旨にもある通り、日本に直接、球が飛んできたり、一撃を食らうなどしないと反撃ができない状態で防衛したとしても、「本土決戦」であることに変わりはないのではないでしょうか。それこそ、憲法の前文に書かれてあることに反すると私は考えます。
そんな中、自衛官、自衛隊員は、自らの生命が危機にさらされている中、同時に1億人を超える日本国民を守らなければなりません。民間人を守りつつ、同時に敵陣に対し非常に制約がある中で、対応できるのでしょうか。
最も、日米同盟により相手国に対する攻撃能力はアメリカに依存していますが、アメリカの軍事に対する基盤はスタンドオフ、つまりできるだけ距離を持って対応することです。万が一、北朝鮮がアメリカに向け(どこでもいいです。ハワイでもグアムでもアメリカのどこかしら。)、ミサイルを撃ってきたらアメリカでなくとも自国を守るのが当然ですよね。この状態になれば米軍は当然、撤退します。本当に有事になった瞬間、専守防衛だけで、現段階の日本の能力で対峙できるとは思えません。
そのような状況にならないためにも、専守防衛は守りつつ、日本自らも、「スタンドオフ攻撃」の対応を取らなくてはならないのです。日本はこれに気がつくまでにだいぶ時間がたってしまいました。
本土決戦にならないためにも、過去に類を見ない実力を備えておかなければ日本はいずれ無くなってしまうのではないでしょうか。
何せ、日本は「核」と戦っているからです。